7-01.就職ナビを見比べても企業は選べない
01.就職ナビを見比べても企業は選べない
突然ですが、以下の求人広告を見てください。これは20世紀初頭にアーネス
ト・シャクルトンという人が隊長を務めた「帝国南極横断探検隊(英)」が、
探検隊員を募集する際に、新聞に掲載した求人広告です。
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MenWanted:
Forhazardousjourney.
Smallwages,bittercold,longmonthsofcompletedarkness,
constantdanger,safereturndoubtful.
Honourandrecognitionincaseofsuccess.
求む男子:
危険な旅。
わずかな報酬。極寒。暗黒の日々、絶えざる危険、
無事に帰還する保証無し。成功の暁には名誉と賞賛を得る。
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仕事の厳しさ、条件・待遇、そして仕事の先に得られるものが、簡潔で、正
確に描写されています。
就職活動中、皆さんが普段見ているかもしれない、就職ナビ。
そして、企業の採用ホームページ。あれも「求人広告」です。会社説明会も、
広い意味で言うと「求人広告」に含まれるでしょう。
自社により多くの学生からエントリーをしてもらおうと、各社工夫に工夫を
凝らして、作り込んでいます。(これは結構大変な仕事です)
でも、皆さんが求人広告を見ていて、一度はこう思ったことがあるのではな
いでしょうか。「いいことばっかり書いてあるけど…本当かな?」
企業がいいことばかりを書いてしまうのは、だいたい以下の理由です。
1.企業ブランドイメージが低下するリスクを心配している(タテマエ)
→将来顧客になるかもしれない学生からのイメージダウンを気にして、
どうしても無難で耳障りのいいものができやすい傾向があります。
2.本当のことを言いたくても言えない(規制)
→例えば、実際は、営業部署には男性しか配属していない会社だとして
も「男性のみ募集」などとは書けません。また、仮に学歴で応募者を
足切りしている企業でも「偏差値○○以上の大学の卒業見込み者だけ
応募可能」などとも書けません。
3.どうせ作るなら、なるべくいいことを書きたい(心理)
→企業側はお金と労力を使って作っているので、なるべくいいことを書
こうとしてしまうのが人間の心理というものです。(皆さんがエント
リーシートを書く時の感覚に近いかもしれません)
つまり本当のことを言うべきだと思っていたとしても、本当のことを言うた
めには膨大な社内調整が必要というのが、企業側の現実なのです。
そこで、皆さんには「真贋(しんがん)を見極める力」が必要になります。
「真=ホンネ」「贋=タテマエ」です。
皆さんの先輩の約3分の1が、3年以内に新卒で入った会社を去ります。退
職理由は「仕事の内容が想像と違った」と「賃金などの労働条件に満足でき
ない」のどちらかをあげている人が全体の7割以上です。
(参考:厚生労働省)
仕事の内容や賃金などの労働条件なんて、入社前に調べればわかるはずです。
それでも多くの人がそれを理由に退職するのです。それは、オモテの顔を見
ただけで全てを理解したつもりになってしまい、ウラの顔を知らずに就職す
る人が、あまりにも多いということではないかと思います。
ものごとをそのまま鵜呑みにせず、多角的に情報を収集していけば、ウラの
顔も見えてくるはずです。皆さんの方から、情報を取りに行く必要があり
ます。何もしなくても与えられる情報というのは、往々にしてフィルタリン
グされています。
別に、企業のあら探しをしろ、という事ではありません。皆さん自身のため
です。ウラの、決してきれいなだけではない顔も見た上で、それでもここで
働きたい、と納得できる会社なのか、これが大事だということです。