職サークル

内定が出る12のヒミツ

04.これからは、皆さんが「伝える者」になってください

「内定が出る12のヒミツ」をお読みいただき、本当にありがとうございました。

以前、職サークルの企画で学生向けコラムを担当していて実感したことがあります。それは、「人に伝えることの難しさ」です。

私が担当していたコラムは、学生の皆さんに対する思いやりに溢れ、励まし、応援するスタイルでした。

手前味噌ではありますが、学生の皆さんから好評を博す人気企画でした。
「就職活動は辛いけど、いつも励まされています」という主旨のコメントを数多くもらっていましたし、お礼のお手紙をもらうこともありました。

その状況を横から見ていた私は、「学生を心の底から応援してくれる、心のよりどころとなるような就職情報会社って、他にないんだな」という発見と、「就職活動って、職サークルがよりどころになるほど、学生を追いこんでしまうのか」という驚きを感じていたことを思い出します。

企画に人気はあったものの、私は「学生を励まし、応援する」ことが、問題の根本的な解決になるのだろうかという疑問が消えませんでした。

就職活動って、そもそも本当に辛いのか。
楽じゃないにしても、なぜ楽しめないのか。

就職活動とは、良かれ悪しかれ、蛙が大学という井戸を出て、社会という大海に出ることに似ています。当然環境の変化は大きい。しかし、だからこそすべてが新鮮な出来事であり「知らないものを知りたい」という人間の根源的欲求「知的好奇心」を満たしてくれる経験ばかりです。

人間の根源的欲求が満たされる経験の連続が、なぜ楽しめないのか?

その原因として様々なことを考えてみました。

・「内定」という、人生の長さを100と仮定すると、1にも満たない短期的な結果にとらわれていないか

・●●な会社に入らないといけない(●●な会社に入ってはいけない)という偏見に苛まれていないか

・「就職活動は●●しなければいけない」というありもしないルールを勝手に察し、身動きが取れなくなっていないか

そこで「現実はそんなことは無い」というリアルを学生に知らせたいと思うようになりました。

・就職活動に正解などない。

・皆が行きたがる企業に、あなたも行く必要はあるのか?

・社会人だって普通の人間だ。変にへりくだることはない。
一人の人間として相対すればよい。

・新卒で入社した企業で人生が決まるわけではない。入社後の努力次第で、人生はいかようにも変えることができる。選り好みしないで、自分が必要とされる企業を見つけ、頑張ればいい。

・「●●しなければいけない」「●●すると落ちる」というルールはない。
なぜなら、相手よって評価が変わるのだから。あなたは万人受けをして、何を成し得たいのか。

・就職は合うか、合わないかの話だ。いちいちへこんでもしょうがない。

・例えば、5社からの内定を保有し続けている人は「自分は意思決定する能力がありません」と言っているようなものだ。結論を先延ばしにした場合、その影響範囲はいかほどか。

・企業は、慈善で採用や研修を実施しているのではない。業績を向上させるための採用や研修であることを忘れてはいけない。「研修制度が充実している企業」を志望するのであれば、期待に応えるだけの努力をしているか?

・あなたが入社を志望する企業の仕事内容を理解しているか?入社1年目に何をやるか、想像がついてるか?他の選択肢もしっかり調べた上で、確信しているか?そうでなければ、他の企業でもいいのではないか?

このディクショナリーを含めた職サークル企画への文章は、採用担当者・大学職員の方からの声を引用したり、自分自身の経験を包み隠さずお届けしながら、そんなことを伝えたいと思って書いてきました。

今思えば、上から目線とも言える偉そうな文体で、学生の皆さんが読んでも「元気が湧いてきた!」ということはなかったかもしれません。しかし、皆さんの今後の人生において、私なりに必ず大切だと思っていることをお伝えしてきたつもりです。

何かの折に、ふとした瞬間に、思い出してもらえると嬉しいです。

その時、もう皆さんは立派な社会人になっているでしょうから、周りの学生に、ぜひ自分の経験談とともに「就職することの本質」、「社会で働くことのリアル」を伝えてあげてほしいと思います。


【日本の未来を担う皆さんへ】

一般的に、「地頭がよく、機転が利き、オトナに合わせたコミュニケーションがとれ、オトナを気持ちよくできる人」が就職活動では評価されがちです。

そういう人は、後輩学生からすると「就職活動で成功したすごい人」であり、その方々の就職活動アドバイスは、後輩に絶大な影響力を持ちます。社会人になった後も、後輩がOBOG訪問で、そういう人の元にやってきます。

そして、「●●と言って面接は突破しろ」「自己PRでは●●を言え」という、内定をもらうためには大事かもしれないが、非本質的な「就活ノウハウ」が蔓延していくのです。

彼らのアドバイスは悪意があるものではありませんし、良かれと思って言っているのですが、必ずしも全ての人にとって有益な情報ではありません。

なぜ非本質的かというと、人は一人ひとり違うし、会社も一社ごとに違うから。その前提においては、付け焼刃のノウハウというのは意味をなしません。

ただし、ごく一部の「地頭がよく、機転が利く」人々はその就活ノウハウを鵜呑みにせず、多面的にみて、必要なところだけ吸収し、自分の血や肉とする力があります。

しかし、私も含め「地頭がよく、機転が利く」とは限らない大半の人が、ノウハウの表面的な部分だけを鵜呑みにして借りてきても、全く意味がありません。かえって小手先の部分にとらわれ、本質が見えなくなり、迷ってしまいます。

非本質的な就職活動アドバイスだけが垂れ流される連鎖を止めるには、我々の世代が真贋を見極め、次の世代に「本質」も「リアル」もしっかりと伝える場を、少しずつでも作っていかなければなりません。

もう一度、お願いです。

皆さんが立派な社会人になった時、周りの学生に、ぜひ自分の経験談とともに「就職することの本質」、「社会で働くことのリアル」を伝えてあげてください。

そうやって、次世代に「本質」「リアル」が伝わり、就職活動が辛いものではなくなり、たとえ大変でもイキイキと就職活動ができる学生が増えれば、こんなに嬉しいことはありません。

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