3-05.非本質的なマニュアルが拡大再生産されるメカニズム
「マニュアル就活はダメ」ということが言われてきて久しい。にもかかわらずなぜ非本質な「マニュアル」はなくならないのでしょうか?
それは「非本質的なマニュアルが拡大再生産されるメカニズム」があるからです。
「納得のいく就活」をするためには、そのメカニズムを理解し、自分で考えて行動する必要があります。
そのメカニズムを以下の通り、整理してみました。
【「就職マニュアル」がなくならない理由】
◆就職マニュアルはきちんと付き合えば有用である
就職マニュアルとは「ある人が試行錯誤の末に導き出した、自分なりのスタイルが汎用化されたもの」だ。
読み手が、そのまま自分に当てはめても意味はないが「いちサンプル」として、自分に合うものだけ吟味して使えば有用なものになりうる。
なので、なくならない。
◆就職マニュアルが通用してしまうケースもある
もともと自分なりの考えがある人はマニュアルを手掛かりに、うまく自分をPRすることが短い時間でできるようになる。
マニュアルをもとにしてはいるものの、こういったPRが採用する側から高評価となる場合もある。
なので、なくならない。
☆ ☆ ☆
【就職マニュアルが通用しない理由】
◆就職マニュアルを鵜呑みしてしまう
しかし残念ながら、多くの人はマニュアルをうのみにしてしまうと、マニュアルを消化しきれず「他人と同じ」になってしまう。
採用する側からすると「また同じことを言っている人が来た」となる。
なので、通用しない。
◆マニュアルは私たちに合うかはわからない
マニュアルは、他人の成功体験であり、そこから導き出された一般論である。
そのやり方が、私たちの価値観、志向、能力に合うかは、わからない。
それがわかるのは私たち自身だけ。
私たちの価値観、志向、能力によって、向いている仕事、受けるべき会社は変わってくる。自分自身に合わないマニュアルの通りに就職活動しても必ずぼろが出る。
採用する側からすると「この人本当はどんな人なのか全くわからない」となる。
なので、通用しない。
☆ ☆ ☆
【就職マニュアルが拡大再生産されるメカニズム】
1.一部の人はマニュアルをうまく活用して自分をPRすることができる。
2.その結果、高い評価を受け、人気企業に内定をもらう。そして「成功者」となる。
3.「成功者」は、良かれと思って自分の就職ノウハウを後輩に話す。
4.「成功者」の言葉は玉石混交であり、中には「成功者には合っているが、全く他人には当てはまらない」エピソードなど、他人がそのまま鵜呑みにして流用しても、どうにもならないものが多分に含まれている。
5.しかし「成功者」は自分のやり方が正しいと思っているので「これが正しいやり方だ!こうすればうまくいくんだ!」と後輩に語る。
6.後輩は「成功者」の言葉を表面だけ理解し、鵜呑みにしてしまう。そして、多くの人はつまづいてしまう。
7.しかし、後輩の中でも一部の人はマニュアルをうまく活用することができる。
8.その結果、企業から高い評価を受け、人気企業に内定をもらう。そして「成功者」となる。
9.新たな「成功者」が、新たな後輩たちに就職マニュアルをばらまく。
(永遠に繰り返し)
☆ ☆ ☆
【永遠に続くスパイラルを断ち切るには】
私たちは、下記のようなことを知り、他の人に伝えていく必要があります。
・就職活動に正解などない
・私たちの価値観、志向、能力によって、向いている仕事、受けるべき会社、就職活動においてとるべき行動は大きくは変わる
・なので、ある人の成功手法が自分にそのままあてはまるわけではない
・また、自分が助言をする立場になった時も「自分の成功体験が目の前にいる人にも当てはまるとは限らない」と心得ておくべき
・一番大事なことは「世間体が良い」会社を選ぶのではなく「自分に合う会社」を納得して選ぶこと
・そのために「自分に合う会社とは?」を自分の頭で考えぬくこと
・そのためには、一人で机の上で考えるのではなく、多くの社会人や学生と「本音で」話をする機会をつくること
・他人の価値観に触れることで、自分の価値観を客観的に把握すること
・他人の助言はもらっても良いが、大事な決断は自分で下すこと
就職活動は、他の誰のでもなく、私たち自身の将来のためにおこなうもの。
流されず、鵜呑みせず、自分で考えて、自分で決める。そうすれば、他人がなんと言おうと、納得のできる人生になるはずです。