2022/01/21 UP
最近になって、就職活動の頃のことを思い出す。
「文系だったら、初期配属はほぼ営業と思っていいよ」
まだ社会に出てもいないのに、訳知り顔の先輩の言葉。
「ノルマってあるんですか?達成しないとどうなるんですか?」
社会に、親に、自由に大事に育ててもらっていた22年間を経て、『成果を出す』ことがどういうことかも分からないまま、自分が自分でなくなることを恐れた結果口をついて出る、ありきたりな質問。
周りも、私も、こんな質問ばかり社会人に投げかけていた。
当時の私の悩みはこんなことだった。
「人当たりが良く第一印象が良いと言われるが、それはかりそめの姿なのではないか。
本当の私は、気にしいだし、考えすぎてなかなか動き出せないし…断られてなんぼの営業なんて向いていないよ。」
表向きのはりぼての自信は、面接官にすぐに見破られた。
『阿久根さんは、自分で思っている印象と周りからの評価にギャップがあるよ。』
『頑張りすぎて崩れてしまうのではないか。』
ああ、やっぱり。私は営業なんて向いていないんだ。
「繊細な部分を分かってもらえてよかった」なんておこがましい考えを胸に抱きながら、どこかで違和感を覚えていた。
「私、平気なんです!」と仁王立ちをする私の影に隠れた、
「怖いよ、どうしよう」とおびえるもうひとりの私。
どちらか一人だけでは、実際の私なんかじゃない。
どちらの私も本当なのに、どちらかに寄せなければならないと信じ込んでいたから、
自信満々かと思ったら急に弱気になったりして、周囲を戸惑わせていたのだ。
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パフで今まで過ごした3年間は、そんな自己評価を忘れるくらいめまぐるしい日々だった。
自己嫌悪する暇もないくらい、たくさんの経験をした。
色んな人の力を借りた少しの成功と、数々の失敗。
悩んで立ち止まる時間が他の人より長いけれど、とにかく、動く、動く、やる、やる。
今になって分かるのは、
気にしいなこと、考えすぎてなかなか動き出せないことは「営業」という仕事に“向いていない理由”なんかじゃなかった。
むしろ、その性格のお陰で信頼をいただけたこともあった。
あの時の私は、「成果を出す」ということがとてつもなく複雑で難しいものに感じていた。
確かに、成果を上げることは難しいけれど、成果が上がれば、
「私は誰かのために役立てるんだ。」という静かでもゆるぎない思いを胸の中に抱き続けることが出来るようになった。
そうしたら、結果にこだわることを恐れなくなった。
誰かのために役立てるんだ、と思えると強くなれる。たくましくなれる。
好きな人のためにがんばれる、このくらいシンプルで良いんだ。
相手のタイミングに合わせてお話ししてみる、それで良いんだ。
これが、もがきまくった私なりの「営業」の向き合い方だ。