11-06.納得して意思決定をするためのステップ
今回は、納得して意思決定するためのステップについて、株式会社パフの社員
(2009年入社)のケースを見てみましょう。
※「企業選びの「ジク」は考えるな!感じろ!」の続きになります。
就活における、本当の難関―。それは「どう納得して意思決定をするか」で
あった。
これは、学校の勉強よりも1000倍難しい。
なぜなら「正解がない」からだ。
僕は、パフから内定はもらえるだろう、と直感的に思ってはいたのだが、す
ぐに意思決定を迫られるとは思わなかった。
他の会社(ITサービスI社、大手BtoBメーカーK社)も受けてから決めれ
ばいいや、くらいに思っていたので、正直面喰ってしまった。
タイムリミットは3月末。I社はともかく、K社に関しては選考が終わるま
で待っていたら、タイムリミットが過ぎてしまう。
「決断」とは、他の選択肢を捨てる事である。「意思決定」というのは、か
くも難しいのか―。決定しては揺らぎ、の連続であった。
☆ ☆ ☆
親しい友人や、良くしてもらっていた社会人にも相談してみたところ、大体
以下のようなことが分かってきた。
【意思決定するために必要なこと】
1.悩んでいるだけでは、決められない。考える必要がある。
2.1日考えて1か月考えても、大して選択の精度・結果は変わらない。
3.自分の中に答えはある。他人にいくら相談しても答えは出ない。他人に
いろいろ助言をもらうことはできるが、結局決めるのは自分である。
4.理屈ではなく、心の声、これまでの経験からくる勘に従うべき時がある。
より「おもしろそうな」方を選ぶのが良い。
5.選択肢自体に正解/不正解があるのではなく、自分の選択を正解にする
んだというゆるぎない覚悟・決意こそが大事である。
☆ ☆ ☆
もちろん、第一志望であるパフに入りたいという思いはあるのだが、何かま
だ覚悟という段階までは至っていなかった。
判断軸はしっかりしているので、後は判断材料となる情報が必要だ。残され
た時間で、残り2社については選考を受けながら社員の方に必要な情報を聞
いた。
パフのK社長にももう一度時間をもらってしっかり話をすることになった。
最終面接からおよそ1週間後、3月も下旬に入っていた。
じっくり話をした後…
K社長:
「いつごろ決断するの?」
僕:
「3月いっぱいには結論を出そうと思います」
K社長:
「そうか、わかった。まぁ、ウチにもほかにたくさん優秀な学生が受けに来
ているから、3月末の時点で採用枠が埋まっていたら『ゴメン』というこ
とになるかもしれない。もし覚悟がついたらいつでも来てよ」
僕:
「そうですか(採用枠?そんな話聞いてないぞ…)」
K社長:
「あれから1週間くらいたつかな。1週間たっても決められないようでは、
仕事の上でも迅速な判断を求められるウチみたいな会社には、もしかしたら
向いていないかもね」
僕:
「(何を…?)」
K社長 :
「もしそんなに迷うんだったら、4月からもまた選考を受け付けるかもしれ
ないから、1次選考からやり直した方がいいんじゃないか?」
僕:
「(何じゃとこのオッサン、言うに事欠いて1次選考からやり直し?俺がそ
んなに優柔不断に見えるのか?よし、決めてやろうじゃないか、パフが第
一志望なのは間違いない。ここでうじうじして他の会社も受け続けたら、
余計決められん。最初っからわかっとったことじゃないか。腹くくれ!)」
「…ク○サキさん」
K社長:
「なに?」
僕:
「私、パフに入社します」
K社長:
「む、本当にその覚悟はあるのか?」
僕:
「あります。現在、この会社には仁徳ある君主と左右を固める豪傑がたくさ
んいます。しかし、大変不遜な物言いですが、計略を立てる軍師が不在な
のではないかと感じています。まだ自分は兵卒にも満たない存在ですが、
いつか会社の懐刀となって、会社を天に上らせる計略を描きたいんです」
K社長:
「そうか、よしわかった。じゃあ、この選択を正解にできるよう頑張ろう!」
(握手)
☆ ☆ ☆
そのあとは、勢いに任せて、社員立会いのもと大きな声で入社宣言をした。
そして、オフィスを去った。まだ少し興奮している。
決めてしまった。
ほんの1年前までは「社会に出たくない」「働きたくない」と思っていた僕
が、3月もそろそろ終わりのこの日に、就職先を決めてしまったのだ。
やっと終わった…決断した後のすがすがしさと、肩の荷が下りたような安堵
からか、築地の空がいつもと違う色に見えた。
しかし、僕の就職活動はこれで終わらなかった。
予想だにしなかった壁がこの後目の前に立ちはだかる事になるとは、僕はま
だ知る由もない。
「親の反対」という壁が。
今回のケースでは、【意思決定するために必要なこと】1~5というステップ
を参考に、勢いも手伝って内定を承諾しました。
これ以外にも、内定先を納得して決めるための考え方はいろいろあると思いま
す。今回のコラムを参考にして、いろいろ探してみてください。